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特定非営利活動促進法

  • [更新日:2016年9月30日]
  • ID:594

1 法律[特定非営利活動促進法]の目的は?[法第1条]

特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的としています。

2 法人格取得の効果は?

任意団体が、特定非営利活動法人の法人格を取得すると、次のような利点があります。一方で法人としての義務も伴ってきます。

(1)利点

法人格取得の利点については、それぞれの団体の事情によって異なりますが、一般的には次のようなことが考えられます。

  1.  法人名で不動産登記ができます。
    任意団体の場合、代表者個人の名義で登記するため、団体と個人の資産の区分が困難であり、代表者が代わった場合、団体の運営・存続に支障をきたすこともあります。
  2. 法人名で銀行口座を開設できます。
    団体の経理が明確になります。
  3.  法人名で契約を締結できます。
    任意団体の場合、団体名では契約できないこともあり、契約締結する個人が責任を負うことになるおそれがあります。
  4. 会計書類の作成や書類の閲覧など、法に定められた法人運営や情報公開を行うことにより、組織の基盤がしっかりして、社会的信用が得られやすくなります。       

(2)義務

  1. 法人の運営や活動について情報公開をしなければなりません。
    定款や事業報告書などの書類は法人の主たる事務所や所轄庁である愛知県において情報公開されます。そのために、事業報告書や会計書類などを、きちんと作成しておく必要があります。
  2. 法人になることにより、県民税や市町村民税などの課税対象となるケースがあります。
  3. 法に沿った法人運営をしなければなりません。
    例えば、総会を年1回以上開催することや、役員変更、定款変更などをした場合は、愛知県へ届出や認証申請などを行うことになります。また役員の数や親族等の役員就任などに関しても制約があります。
  4. 職員等を雇用する場合、社会保険について、社会保険事務所等に対し、所定の手続きをとり、雇用主負担分を支払う必要があります。
Q&A 1
質問1
NPO法人格をとると、補助金・助成金が交付されるのですか?
回答1
法人格の取得に伴って、愛知県から補助金などが自動的に交付されることはありません。また民間の助成金についての対象要件は、法人格の有無ではなく、むしろ活動の内容が助成要件にあうかどうかで判断しているケースが多いようです。補助金や助成金などの情報収集の方法としては、あいちNPO交流プラザの掲示板や、NPO法人・助成財団等のホームページが、参考になります。

3 法人格を取得できる団体は?[法第2条、第12条等]

(1)目的に関する要件

1.営利を目的としないものであること。(法第2条第2項第1号)

Q&A 2
質問2
「営利を目的としない」とは、どういうことですか?
回答2
「営利を目的としない」とは、サービスの対象者から対価を受け取ることができないということではありません。この法に言う「営利を目的としない」とは、その法人が対価を受け取って活動してはならないということではなく、活動によって得た利益や資産を社員や役員など構成員に分配してはならない、ということを意味しています。(例:株式会社の配当のような行為)。「営利を目的としない」団体の場合、期末に利益があっても構成員に分配することができず、その利益は、その団体の目的とする活動に充当しなくてはなりません。
職員が労働の対価として賃金を受け取ることは、一般的に利益の分配には当たらないとされています。しかし、類似の労働に対して得られる社会一般で妥当とされている賃金と比較してあまりに高額な賃金を受け取っている場合は、利益を分配していると判断されることもあります。

2.特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること。(法第2条第2項)

Q&A 3・4
質問3
「特定非営利活動」とは、どのような活動を指しますか?
回答3
この法律でいう「特定非営利活動」とは、特定非営利活動促進法別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいいます。
なお、別表に掲げる特定非営利活動の活動分野は次の17分野です。
〈1〉保健、医療または福祉の増進を図る活動
〈2〉社会教育の推進を図る活動
〈3〉まちづくりの推進を図る活動
〈4〉学術、文化、芸術またはスポーツの振興を図る活動
〈5〉環境の保全を図る活動
〈6〉災害救援活動
〈7〉地域安全活動
〈8〉人権の擁護または平和の推進を図る活動
〈9〉国際協力の活動
〈10〉男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
〈11〉子どもの健全育成を図る活動
〈12〉情報化社会の発展を図る活動
〈13〉科学技術の振興を図る活動
〈14〉経済活動の活性化を図る活動
〈15〉職業能力の開発または雇用機会の拡充を支援する活動
〈16〉消費者の保護を図る活動
〈17〉前各号に掲げる活動を行う団体の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動
※不特定かつ多数のものの利益とは
受益者が特定されていてはならないことを意味します。したがって、「私益」(特定の個人や団体の利益)や、「共益」(構成員相互の利益)を目的とする活動は受益者が特定されている活動になりますので、除かれるということです。例えば、同窓会や同好会のような活動は「共益」的な活動とみなされ、特定非営利活動には当たりません。ただし、活動の現実的な受益者が、事柄の性質上限定されたり、結果として少数であったとしても、現実の目的が「社会全体の利益」と考えられるような場合には、この要件を満たすものといえるでしょう。(例「○○病患者を救う活動」)
回答4
特定非営利活動を行うことを「主たる目的」としているかどうかは、どのように判断するのですか?
質問4
特定非営利活動を行うことを主たる目的としているかどうかの判断は、原則として申請者が所轄庁に提出する定款、設立趣旨書、事業計画書、収支予算書等の書類を審査することにより行います。たとえば法人が「その他の事業」を実施する場合、特定非営利活動に係る事業とその他の事業の実施に関する事業量(従事者・従事時間・事業費支出等)の割合が、原則として特定非営利活動事業に係る事業量>その他の事業に係る事業量となるかどうかを目安に総合的に判断します。
※その他の事業(法第5条)とは
1.特定非営利活動法人は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、当該特定非営利活動事業に係る事業以外の事業(以下「その他の事業」)を行うことができる。この場合において、収益が生じたときは、これを特定非営利活動事業に係る事業のために使用しなければならない。
2.その他の事業に関する会計は、特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。
※特定非営利活動事業とその他の事業との区別
特定非営利活動とは、A3で見たように、下記のいずれの要件も満たした活動です。
・17分野のいずれかに該当する
・不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする
その他の事業とは、特定非営利活動に係る事業以外の事業をさします。
例えば、
・特定非営利活動に充当するための資金調達を目的とした事業
・会員相互の親睦を図ることを目的とした事業
などが、その他の事業として該当します。
つまり、事業を区別するポイントは、その法人にとって、どのような目的を持って実施する事業なのかということです。所轄庁が事業の区別を判断する際には、設立趣旨書・定款・事業計画書・収支予算書などを参考にしますので、申請者は、事業目的を所轄庁が判断できるよう、具体的に記載する必要があります。

(2)活動に関する要件

  1. 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、および信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。(法第2条第2項第2号イ)
  2. 政治上の主義を推進し、支持し、またはこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。(法第2条第2項第2号ロ)
  3. 特定の公職の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者または政党を推薦し、支持し、またはこれらに反対することを目的とするものでないこと。(法第2条第2項第2号ハ)

(3)組織等に関する要件

<社員に関すること>
1.10人以上の社員を有するものであること(法第12条第1項第4号)

Q&A 5
質問5
社員とは、どんな人を指すのですか?
回答5
法人に雇用されている職員・従業員を指すものではありません。
特定非営利活動法人は、複数の人の結合体である「社団」の一種であると考えられており、「社員」とはその構成員を指します。社員総会で議決権を有する者がこれに該当します。
誰が社員になれるのかについては、特段の要件を定めてはいないため、自然人であるか法人(あるいは法人格のない団体)であるかは問いません。また日本人か外国人かも問いません。

2.社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。(法第2条第2項第1号イ)

Q&A 6
質問6
不当な条件とはどういうことですか?
回答6
社員の入会に条件をつけることは可能ですが、法人の目的に照らして合理的かつ客観的なものでなければなりません。また、公序良俗に反してはいけません。
社員の退会は、自由でなければなりません。
社員の資格の取得と喪失については、定款に明示する必要があります。

<役員に関すること>
1.理事3人以上、監事1人以上であること。(法第15条)

役員には、理事と監事が必要です。
理事は、それぞれが法人の業務を代表します。但し、定款により代表権を制限することができます。(法第16条)
監事は、理事の業務、法人の財産の状況について監査します。監事は理事または法人の職員を兼ねることはできません。(法第18条、第19条)

役員と社員、職員の違い
役員(理事・監事)・社員・職員は、それぞれ別の意味を持つ法人の構成員ですが、その意味は次のとおりです。

  • 役員とは、理事と監事のことを指します。
  • 社員とは、総会の議決権を持つ会員のことを指します。
  • 職員とは、法人の事務局職員などを想定しています。

また、役員・社員・職員それぞれを兼ねることもできますが、その概要をまとめると下記のとおりです。(この場合、正会員が議決権を持っている会員であると仮定しています)

役員・社員・職員の違い

正会員(社員)役員(理事)役員(監事)職員
正会員(社員)
役員(理事)
不可
役員(監事)不可
不可
職員不可

2.次に掲げる欠格事由に該当しないこと。(法第20条)

ア 成年被後見人または被保佐人
イ 破産者で復権を得ないもの
ウ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
エ この法律または暴対法等(※)により、罰金の罪に処せられ、その執行を終わった日またはその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
オ 暴力団の構成員等
カ 法第43条の規定により設立認証を取り消された法人の解散時の役員で、取消の日から2年を経過しない者

※暴対法等:暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法第204条、206条、208条、208条の3、222条、247条
暴力行為等処罰に関する法律

Q&A 7
質問7
外国人の方でも役員になることができますか?
回答7
役員になることができない者の要件は、上記の法第20条で定められています。従って、その要件に該当しないものであれば、外国人の方でも役員になることができます。また、未成年者であっても役員になることはできると解されますが、法律行為を行う場合には法定代理人(親権者、後見人)の同意を必要(民法第4条)とすることなどから慎重に考える必要があるでしょう。

3.役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること。(法第2条第2項第1号ロ)

Q&A 8
質問8
役員報酬とは、どのような報酬を指すものですか?
回答8
役員報酬とは、役員としての活動に対して払われる報酬をさします。役員が、法人の職員を兼ねていて、事務局職員としての労働の対価として給与を得ている場合には、役員報酬には当たりません。また会議に出席するための交通費などは、費用弁償であり、同じく役員報酬には当たりません。

4.親族等の制限規定に違反しないこと。(法第21条)

役員のうちには、それぞれの役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族が一人を超えて含まれ、または当該役員並びにその配偶者および三親等以内の親族が役員の総数の三分の一を超えて含まれることになってはならない、とされています。
つまり、役員総数が6人以上の場合は、本人以外に1人まで親族(その配偶者および三親等以内の親族)を役員にすることができますが、役員総数が5人以下の時には、一人も親族が含まれてはいけません。

親族図

<その他>
1.暴力団または暴力団若しくは暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと。(法第12条第1項第3号)

法人の運営に関する要件

(1)活動の原則(法第3条)

  1. 特定の個人または法人その他の団体の利益を目的として、事業を行ってはならない。
  2. 特定の政党のために利用してはならない。

(2)総会の開催(法第30条で準用する民法第60条、61条、63条)

  1. 通常総会は少なくとも毎年1回開催しなければなりません。
  2. 法人の事務は、定款で理事等の役員に委任しているもの以外は、総会の決議に基づいて行います。
  3. 理事が必要と認めるときや総社員の5分の1以上から請求があったとき(この定数は定款で増減可能)は、臨時総会を開催することができます。

(3)財産目録の作成(法第14条で準用する民法第51条第1項)

  1. 法人は設立の時に、改めて財産目録を作成し、主たる事務所に備え置かなければなりません。

(4)会計の原則(法第27条)

  1. 会計簿は、正規の簿記の原則に従って正しく記帳すること。
  2. 財産目録、貸借対照表および収支計算書は、会計簿に基づいて収支および財政状態に関する真実な内容を明りょうに表示したものとすること。
  3. 採用する会計処理の基準および手続については、毎事業年度継続して適用し、みだりにこれを変更しないこと。
Q&A 9・10
質問9
正規の簿記の原則とは、どういう原則ですか?

回答9
企業会計の基本原則を定めた企業会計原則に定められた言葉であり、正確な会計帳簿を作成するための原則です。具体的には次の3つの内容が含まれていると解されています。
1.取引記録が、客観的にして証明可能な証拠によって作成されること
2.記録計算が明瞭正確に行われ、かつ順序区分など体系的に整然と行われていること
3.取引記録の結果を総合することによって、簿記の目的に従い、企業の財政状況および経営成績あるいは財産管理の状態などを明らかにする財務諸表が作成できること

特定非営利活動法人は、事業の透明性が重要ですが、なかでも、経理処理は透明性の重要なポイントになりますので、第三者が見ても法人の運営状況が把握できるような、適正な会計処理が求められています。

質問10
法人になるために基本財産は必要ですか?また、設立の手続きに関して手数料などが必要ですか?
回答10
基本財産は0円でもかまいません。また設立認証の手続きに関しても手数料はかかりませんし、登記の手数料も無料です。(ただし、役員の住民票をとるための費用は必要です。)

(5)監督等

所轄庁は法令違反等一定の場合に、法人に対して報告を求めたり検査を実施したりすることがあり、場合によっては改善措置を命ずることもあります。さらにこの命令に違反した場合などには、設立認証を取り消すこともあります。
また、特定非営利活動促進法に違反した場合には罰則が適用されることもあります。

愛知県社会活動推進課資料を引用

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